~ついに切れたミッキーマウス(初代版)の著作権~
暗躍するディズニーのロビー活動 著作権倫理と独占権による社会的非効率
任天堂株式会社の知的財産部、ディズニーの法務部。数々の訴訟や裁判で、勝訴となる例が多いことから、これらの企業の知財・法務部を「世界最強」と称されている事を、ご存じの方も多いかもしれません。特にディズニーは、繰り返しのミッキーマウスの著作権保護期間延長を目的として、「著作権延長法」なる米国連邦法改正法を成立させ、米国連邦議会までも動かしてしまいました。著作権法制度の大幅な見直しをさせ、当初「14年間」だった保護期間を段階的に「95年」へと延長させる法律を成立させたのです。この著作権延長法は、皮肉を込めて、「ミッキーマウス延命法」「ミッキーマウス保護法」などと呼ばれています。
これにより、ディズニーは多くの学者から「文化遺産をデジタル化し、アーカイブし、アクセスする能力に壊滅的な影響を与える、経済的に逆進的な施策である」 と批判を受け、世界から著作権の倫理問題の一つとして注目を浴びました。そのミッキーマウスが95年の時を経て、ついに著作権が切れ、2024年1月1日にパブリックドメインとなり、話題は再燃しました。理由は経済市場も及ぶためです。世界中で愛されるミッキーマウスが、パブリックドメインという人類共有の資産となることには、どの様な文化的・ビジネス的な影響が広がるか。著作権史上最大のパブリックドメインの「実験」として、注目を集めています。
しかし、ミッキーマウスのデザイン全てがパブリックドメインになったわけではありません。1928年に制作されたウォルト・ディズニーの短編映画「蒸気船ウィリー」に登場する初代版ミッキーマウスのみが対象です。
また、現代版ミッキーの「商標」はまだディズニーが保持しているため、注意が必要です。 加えて、初代ミッキーの著作者人格権も継続されています。著作者の没後に著作者を否定したり、著作者の精神を侵すような改変、名誉を傷つけたりする行為などを禁止する法律です。
有識者によると、ディズニーは不正に使用した者に対しては訴訟を起こす可能性が高いと指摘しています。
巨大企業による芸術の独占権が破れ、二次創作といった新たな文化が展開されようとしています。しかし、ここは日本。著作者の死後70年ルールと戦時加算特例法のルールが適用され、2052年まで著作権は消滅しないという説も、調べで分かりました。
これに伴い、初期ミッキーマウスを使った商品を日本国内で販売する場合はディズニーの許諾が引続き必要になる可能性がありますが、米国合衆国連邦議会を動かしてしまうディズニーと交渉する日本企業がもし存在するのであれば、行く末を見守りたいものです。