こんにちは!
肺がんの分類で「腺がん」と「扁平上皮がん」というがんの名前がでてきました。腺がんは腺上皮が、扁平上皮がんは扁平上皮ががん化したものです。がんのタイプは上皮組織の種類と関連があります。今回は上皮細胞と上皮組織の種類についてお話します。
上皮細胞は各器官の内外の表面を覆っている細胞です。上皮細胞の下には基底膜という膜があり、上皮細胞を支えています。
上皮細胞は細胞の形により、「扁平上皮」、「立方上皮」、「円柱上皮」、「線毛上皮」の4つに分類されます。扁平上皮は平たい形、立方上皮は立方形、円柱上皮は縦方向に長い円柱形です。線毛上皮には線毛が生えています。
上皮組織は細胞の並び方によって、「単層上皮」、「多列上皮」、「重層上皮」の3つに分類されます。単層上皮は細胞が基底膜上に一列に並びます。多列上皮はすべての細胞が基底膜に接していますが、高さの違う細胞が並びます。重層上皮は細胞が基底膜の上に何層にも重なって並び、上の方の細胞は基底膜には接していません。
上皮組織の種類は細胞の形と並び方を組み合わせて表現します。例えば、単層扁平上皮や重層扁平上皮といった感じです。
各器官に存在する上皮組織の種類は、器官の機能やその環境に応じて決まります。平たい形の扁平上皮は物質の交換が得意です。そのため、「単層扁平上皮」は酸素と二酸化炭素、栄養素と老廃物の交換をする血管や肺胞にみられます。円柱上皮は縦長の形で細胞の容量が大きく、分泌や吸収が得意です。そのため、「単層円柱上皮」は胃や小腸、大腸などにみられます。「重層扁平上皮」は薄い扁平上皮が何層にも重なっていて非常に頑丈なので、刺激を受けることが多い皮膚、口腔、食道などにみられます。卵管や気管の上皮には線毛が生えています。線毛は物質を移動させることが得意なので、卵管は卵子を運ぶことができますし、気管は体に入ってしまった空気中のごみなどを喉のほうに送り出すことができるのです。あとはちょっと変わった上皮組織に「移行上皮(尿路上皮)」があります。移行上皮は伸び縮みすることが得意なので、尿を作って貯める尿管、膀胱などにみられます。
皮膚、口腔、食道などに扁平上皮がんが多く見られるのですが、それは皮膚、口腔、食道などが重層扁平上皮でできているからです。
あれ?腺上皮は?今回のお話に腺上皮は出てきませんでした。腺上皮については、次回お話します。









