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・それって普通に商標登録名ですよ 24’5月号

~松竹梅の法則/竹でいっか!~

● 松竹梅の法則
 皆様は定食のメニューを選ぶ時、「Aランチ(1300円),Bランチ(700円),Cランチ(500円)」の3つの中ですと、何を選びますか?そのときに食べたい物や所持金によって、選択が変わるとは思いますが、統計的には真ん中のBコースを選ぶ人が多いようです。

 これを「極端の回避性」または「ゴルディロックスの原理(効果)」といいます 。 別名「松竹梅の法則」といわれますが、人は「真ん中のもの」を選ぶ傾向にあるとされています。この「真ん中」を選ぼうとする心理を、販促活動の値決めに多く活用されます。今回は、行動経済学の視点から、どの様に私達は沢山の選択肢の中から無意識に「買ってしまっている」のか、迫りました。

● 損はしたくないけど、見栄も張りたい
 人はなぜ、真ん中の「竹」を選んでしまうのでしょうか。価格帯が複数に分かれている場合、人は「安い商品より高い商品の方が品質は良いはずだ」といった思い込みが働くそうです。しかし、「高い商品は贅沢だし、もしも失敗したら損失が大きい」と考えます。一方で、安いものを選ぶと、世間体や見栄が働きます。そして、最終的には「竹」の価格がお得に見えてしまうのだそうです 。

 このように、売り側は「竹」を選ぶ購買心理に着目し、売り上げを伸ばすために様々な手段でマーケティング戦略が活用されています。

● 一番売りたい商品を真ん中の価格に設定
 最も基本的な手法として、一番売りたい商品を真ん中の価格に設定します。その上位と下位にあたる商品を後付けで用意する手法です(松と梅)。ここで重要なのは、3つの価格は均等な値幅で設定にせず、より購買を高める工夫がなされている事です。

 竹の価格を5,000円にしたい場合、松の価格は大きめに離して設定します(例えば10,000円)。そして梅の価格は、少し手を延ばせば「竹」に届く価格、3,500円にします。※「松」や「梅」は店側としては売り上げを期待はしていない事が多いそうです。

 しかし、ここで価格設定を間違うと一番下の商品ばかりが売れるようになるので、匙加減を大切にしているそうです。商品は、適切な見せ方が大切なんですね。

● 商談のときの価格は、松→梅→竹の順で顧客へ提示する
 対面で価格を提示する時は、一番高価な商品(松)を提示し、次に一番安価な商品(梅)を価格が安い理由とともに提示し、最後に真ん中の価格(竹)の商品を紹介すると、購入決定率が高いと言われています。

 私達が、「ちょっと高いなあ」と思った直後に、一番安い価格を提示されると「ここまでグレードを落としたくない」という見栄や気分が動き、最終的に真ん中の価格を選び安くなるというカラクリです。

 店側は、「竹」の物を買わせて利益を増大させる為、売れなくても敢えて高額商品である「松」の物を置いたり、一番安い「梅」の物を置いたりします。私達が選んだ「竹」は、購買心理を誘導された物かもしれません。定食で3つのメニューが出てきた時は、慎重に選んでみたいですね。


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